村尾政樹のブログ『伝える。』

ソーシャルセクターに勤める27歳の個人ブログ。仕事や活動の記録がメインです。

「子どもの貧困対策計画」レポート No.1-1<北海道・現状と課題編>

f:id:villagetail:20150910211252j:plain

 「子どもの貧困対策計画」が策定され始めています。この計画は、2013年6月に成立された「子どもの貧困対策法」、2014年8月に閣議決定された「子どもの貧困対策大綱」を受けて各都道府県や市区町村で定めるものです。

 文部科学省厚生労働省内閣府も来年度予算の概算要求を終えて、8月28日には3回目の「子どもの貧困対策会議 」も行われ、実効性のある対策を進めていくために政府の動向も注目すべきところですが、現状でどのような「子どもの貧困対策計画」が策定されていくのかも気になるところです。

 そこで、個人的に、ずっとやりたいと考えていた地方自治体の計画策定状況を調べるレポートを少しずつ書いていきたいと思います。本当は、市区町村単位まで調べたいのですが、まずは都道府県単位の計画から始めます。第1回目は「北海道」です。

地方自治体は「地方型対策モデル」を模索する重要な計画になる!

 なぜ、北海道から始めるかは最北端だという理由や私が6年間お世話になったという理由もありますが、それだけではありません。北海道は生まれ育つ家庭の「血縁」だけでなく、広大な土地に人々が点在する「地縁」によって"経済的な理由による困りごと"が生じており、地方自治体は家庭的要素と経済的要素に加えて地理的要素も視野に入れた「地方型対策モデル」を模索する重要な計画になると考えているからです。なお北海道の計画は素案が出来上がり現在パブリックコメントを募集中です。

生活保護世帯は10年間で42,214世帯増加、母子世帯の87%・父子世帯の50.9%は年収300万円未満、児童養護施設で暮らす子どもの大学進学率は4.8%

 まずは、北海道の現状からです。北海道における生活保護受給者は平成15年4月の79,706世帯から平成25年4月には121,920世帯となり、10年間で42,214世帯も増加しています。また、ひとり親家庭の収入は母子世帯で300万円未満が全国64.1%なのに対して北海道は87%にのぼります。父子世帯は全国31%に対して北海道は50.9%。母子世帯は8世帯あれば7世帯、父子世帯は2世帯に1世帯が年収300万円未満で暮らしていることになります。ひとり親世帯の就業率において正規職員として働く母子世帯は29.7%(全国39.4%)、父子世帯は64.7%(全国67.2%)です。「地方」を感じたのは、父子世帯の就業率が全国と大きな違いはないのに、収入は年収300万円未満の父子世帯が全国だと31%と、北海道と比べて20%近くも差があることです。

 そして、児童養護施設で暮らす子どもは大学等進学率が全国で22.6%に対して北海道は14.4%で8.2%下回り、専修学校を除く大学・短大の進学率に限っては全国が12.3%に対して北海道は4.8%です。今年(平成27年)行ってくださった「北海道における児童養護施設等の退所者へのアンケート結果」によると、「機会があれば再度進学を目指したいと考えたことがあるか」という質問に対して「大学・短期大学または専門学校に行きたい、行き直したいと考えたことがある」と答えた人は43.5%でした。また、「進学しなかった、またはできなかった理由」という質問には「学費や生活費の負担など金銭的に厳しかった」と答えた人は42.1%でした。児童養護施設等に措置された子どもの半数近くは、進学できなかった理由が経済的な理由、機会があれば進学したいと考えていることから、北海道における進路選択の狭さや厳しさが伝わってきます。

f:id:villagetail:20150910200829j:plain

ー北海道は子どもの貧困の一層の拡大が懸念、全国の中でも大変厳しい地域の一つ

 生活保護世帯の増加傾向、母子・父子ともにひとり親家庭の低所得層が多い、親の就業率や子どもの就園率が全国に比べて低位で推移しているなどなど。北海道はこれらの現状に対して「子どもの貧困の一層の拡大が懸念」と子どもの貧困の課題を重く受け止めています。そして、北海道は「本道における子どもの貧困の状況については、様々な面において、全国の中でも大変厳しい地域の一つであると考えられる」と位置づけ、「子どもの貧困対策に向けた取組を計画的かつ総合的に推進していく必要があります」と対策計画の必要性を強く訴えています。

~~~~~

 6月に私がヒアリング調査を受けた際、たくさん話したかったことがあるなかで主に話したことは2点でした。『まずは実態を掴もうとすることが第一。預かっている大事な税金を使って対策をするのだから実態に即した計画が必要。』、『卒業論文では社会的養護経験者について論じたが、北海道における現状は全国的にもかなり厳しい現状だと感じている。』。これらの話を担当者の方は誠実に受け止めていただき計画に反映させようとご尽力いただいたことを感じます。心から御礼申し上げます。

 今回は計画の素案9ページまでレポートしました。興味が出た人は、ぜひ下記のURLから現物を読んでいただければ幸いです。次回は、この現状に対する北海道の計画の方向性や施策などについてレポートする予定です。

 

【参考ページ・参考資料】

北海道子どもの貧困対策推進計画(素案)に係る道民意見の募集について

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kms/kodomonohinnkonn.htm

・北海道子どもの貧困対策推進計画(素案) 

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kms/js/hinkonsoan.pdf