村尾政樹の個人ブログ

ソーシャルセクターに勤める29歳の個人ブログ。仕事や活動の記録がメインです。

【御礼】2月12日 NHKスペシャル『見えない”貧困”』

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2017年2月12日(日)、NHKスペシャル『見えない”貧困”〜未来を奪われる子どもたち〜』が放送されました。ご覧いただいた皆様、ありがとうございました。

収録を通して、僕も番組がどのように仕上がったか楽しみにしていました。貴重な機会をいただき、心から感謝しています。

御礼を兼ねて番組で紹介していただいたこと以外でスタジオでお話したこと、番組を観て考えたことを書いてみました。少しでも何かお力になれれば幸いです。

単に”お金”に困っているのではなく、お金で様々なモノ・つながり・機会が奪われて困っている

番組では『剥奪指標』が取り上げられていました。よく子どもの貧困について語られる時に貧困率という世帯収入の経済的な指標が使用されます。剥奪指標は、その経済的な指標だけでは見えない具体的な困りごとや奪われるモノ・つながり・経験などを見える化しようとするものです。

番組名が『見えない”貧困”』だったのも、貧困率でしか見えていなかった(見ていなかった)貧困を、剥奪指標の観点で見ようとしたことが一つの意図だったのかなと考えています。

この指標において、現代の子どもは経済的な理由で何を奪われるべきではないのか、子どもの成長や人々の人生で何が保障されるべきなのか、社会全体の議論とコンセンサスは不十分です。番組をきっかけに少しでも理解と議論が深められる機会になることを切に願っています。

子どもだけでなく大人や社会全体に余裕がなくなってきている

僕は子どもの貧困について『子どもが貧困なのではなく、子どもを取り巻く環境や支える人が貧困状態にある』と説明しています。子ども自身は未来ある『豊かな存在』で、子どもの貧困は彼らの問題ではなく今を生きる私たち社会の問題です。

一方で、難しい点は、だからこそ大人や社会全体に余裕がなくなってきていること。みんなそれぞれ大変な中で必死に生き抜こうとしているからこそ、子どもに限らず周りへの配慮や思いやりを持っていられなくなってしまう。そのことが、更に問題を深刻化させる拍車につながる気がしてなりません。

批判的な感想を持つ人もいることは承知しています。中には本当に踏ん張って苦労されてきた理由もあると思うと、何だか複雑な気持ちが正直あります。

子どもは『努力×周りの理解や支え』で成長していく

高橋みなみさんとご一緒させていただき、彼女も努力で生きてきた人だからこそ自分の努力が否定されているように聞こえてしまわないか、実は心配していました。

もう少し高橋みなみさんとゆっくりお話ができれば本当は良かったのですが、彼女自身も『周りの環境も必要ですよね』とコメントされていて少し安心しました。

湯澤さんも話されたように自助努力の限界がきていることと、僕は子どもの成長は努力と周りの理解や支えが掛け合わさり成り立つものだと感じています。周りの理解や支えがマイナスだと、いくら頑張っても子どもの成長や気持ちは負の方向へ働いてしまう。

だからこそ、厳しい時代でも取材に協力してくれた子どもの声や、今を生きる子どもの気持ちに寄り添って温かく見守り支えてほしい。自分ごととして捉えて、社会を考えてほしい。このことは普段の仕事でも強く感じることで、僕が今回の番組で一番伝えたかったことです。

 

まだまだ微力でご期待にかなわない部分もあったかと思います。今後もコツコツ積み重ねていくので引き続き何卒ご支援・ご協力、何よりも深いご理解よろしくお願いいたします。

再放送は、2月15日(水)0時10分からです。見逃された人は是非ご覧ください。