村尾政樹のブログ『伝える。』

ソーシャルセクターに勤める27歳の個人ブログ。仕事や活動の記録がメインです。

伝える。7/「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観て

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 6月に入り、今年も前半最終月となりました。最近は5月21日にお医者さんへの講演や貧困研究誌に寄稿した号が今月中旬に発刊予定です。また、ふとしたご縁でご推薦いただいた「第31回人間力大賞」の審査が通って下旬に最終選考が行われます。

 本日は振替休日をとって第69回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品「わたしは、ダニエル・ブレイク」という映画を観てきました。知人から紹介されたこと、来月10日~15日イギリスに滞在する予定だったことがこの映画を観るきっかけでした。

danielblake.jp

イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。

 この映画は、フィクションです。でも、『これはフィクションじゃなくて自分のそばにある』と観た人たちが感じてほしい。今年は届けきられていなかった方面にも伝えることを意識しながら、タレントさんや企業など様々な分野の人から率直な意見を積極的に聴くようにしていますが、その人たちはどう感じるのだろう。

 最近の問いは「政策が文化をつくることは可能なのか」。学生時代、社会的養護を経験した若者の語りから安定した居場所・職業・住居の「居職住」アプローチとインフォーマルな支援体制の構築を考察していたときに思ったことは、子どもや若者に寄添う文化をつくりたいということ。

 日々の仕事で子どもの貧困と向き合い様々な制度の改善を目指し、「子どもの貧困対策法」が成立したからこそ広がった認知とともに理解を深める形で歩みを進められているのか不安な気持ちや危機感が募っています。近年のイギリスの動向がイギリスの子どもの貧困対策を揺れ動かし、根付かない制度からも学ぶべきことがあります。対策法成立4年と財団設立2年が経過する今日、5年目・3年目は何が必要なのか、何をすべきか、何ができるのか。

 今週末11日には、がん対策基本法自殺対策基本法施行10年を記念した「いのちのフォーラム」がNHKホールで開催されます。少なくとも自死遺児として育った僕は、自殺対策基本法が血の通った法律として希望に感じ、社会が『お母さんやあなたが悪かったんじゃない。私たち社会の問題で、私たちが責任を持って解決したい』と言ってくれているようでした。来年6月、「子どもの貧困対策法」成立から5年が経ったとき、子どもや若者たち、お母さん・お父さんがそう感じられる法律であってほしい。

 いのちのスタートラインである子ども・若者期が大切にされる文化が根付けば、一人ひとりの『生きる』が大切にされる社会につながると僕は信じています。一方で、だからこそ子ども・若者を支える周りが大変なまま、もしくは無関心のままでは状況が変わらない。

 主人公のダニエル・ブレイク、シングルマザーのケイティは直ぐそばにいる。そして、自分の心の中にも隠れたダニエル・ブレイクがいるのかもしれない。「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観た色んな人の感想が聴きたいな。