村尾政樹のブログ『伝える。』

ソーシャルセクターに勤める26歳の個人ブログ。仕事や活動の記録がメインです。

マジで?!イギリスで「子どもの貧困」の定義が変わるかも。そこから学ぶ、人間の本質と「お金」の大切さ。

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 今、イギリスで「子どもの貧困」の定義が変わるかもしれない動きが出ています。そのニュースを読んだ夜は興味深くて寝れなくなりました…。どのように事象をとらえるのか、そして、国の対策を考えるうえで経済的支援や社会保障の充実、安定した雇用や労働に関する対策の重要性を再認識しました。

Child poverty definition to be changed(子どもの貧困の定義が変わる)

 ニュースのタイトルは「Child poverty definition to be changed(子どもの貧困の定義が変わる)」です。報道したのはBBCというイギリス版NHKみたいな感じのイギリスの公共放送局です。このニュースは、要するに、雇用・年金大臣が「もっと違う視点で子どもの貧困をとらえた方がいいのではないか。」と言っていて、そのとらえ方は年収いくら以下といった所得(お金)の部分に着目するのではなく『子どものライフチャンス(生きていくうえでの機会・可能性のような意味です)』に焦点を当てて子どもの貧困を測ろうというものです。

www.bbc.com

 これ、すごく面白くないですか?ひとつの事象のとらえ方・測り方を変えようってことは、それによって今までの「常識」だと考えられてきたことが180度変わるかもしれないってことです。私も、生まれ育った家庭や地域などによって生じる子どもの「お金の困りごと」について「お金」と「困りごと」の両方の視点と両方の関連性から「子どもの貧困」をとらえるべきだと考えていて、講演会などでは話したりしています。

 実際にイギリスでは2010年に策定した「子どもの貧困対策法」を根拠として2020年までに子どもの貧困を撲滅することを目標に掲げています。また、「お金」の側面だけでなく「健康的な食事を一日3回取れている」「学校へ通うための学用品を揃えられている」など『子どもにとって"あって当たり前"』のものや体験が奪われていないかという側面も「子どもの貧困」を測る指標として定められています。

 更に、対策としても1999年に当時の首相が「2010年までに子どもの貧困を半分にします!」と約束して10年間でおよそ50万人ほどの子どもが貧困状態から抜け出すことができたといわれています。業界ではイギリスが先進的だと言われている証ですね。今回の「もっと子どものライフチャンスに焦点を当てよう」という提案も「子どもの貧困」についてはもちろん、何が人間の本質なのか、人間の豊かさとは何かと考えさせられたりしますよね。

 …ところがどっこい!よーくニュースを読んだり調べてみると、実はこのニュースから考えさせられるのは、そこだけではありませんでした。

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ー「私たちは子どもの貧困のうえに"カーペット"を敷いて対策に取り組みたくない。」

 実は、2010年からイギリスは政権が変わり、社会保障の削減や労働の形を制度的に変えてきました。そして、今の「子どもの貧困」のとらえ方・測り方では「子どもの貧困」が急激に増えてしまいそうだということだったようです。2020年までに子どもの貧困を撲滅すると目標に掲げているのに、ここにきて急激に増えてしまうと困りますもんね…。

 また、先日ラグビーのワールドカップで日本が戦ったスコットランドの政治家は、このイギリスの動きに対して「私たちは子どもの貧困のうえに"カーペット"を敷いて対策に取り組みたくない。」と反対する意向をしめしています。今回のイギリスにおける「子どもの貧困」の定義を変えようとしている動きは"見せたくないものをカーペットの下に置いてしまおう"という今の政権のたくらみとして観ることができるのです。

www.scottishhousingnews.com

 しかし、これは逆に考えると、今まで10年間で50万人ほどの子どもが貧困状態から抜け出すことができたり、イギリスが対策で効果をあげていたのも、安定した雇用や最低賃金の引き上げなど労働面に対する対策、そして、現金給付など社会保障(所得保障)の充実があったからこそだということです。

 日本における子どもの貧困対策の動きも今秋から年末にかけて大綱策定以来の山場がやってきます。イギリスという他の国の動きから改めて「子どもの貧困」をどのようにとらえるかの重要性、そして、今一番の対策として労働面も含めた「お金に対する支援」、アプローチが大切であることに「ハッ!」と気付かされました。子どもの貧困対策に関して直接的な「お金に対する支援」といえば、代表的なものとして児童扶養手当や給付型奨学金があります。果たして、日本における子どもの貧困対策はどのように展開されていくのでしょうか。

子どもの貧困は他人事ではなく自分事!対策の受益者は一億全国民。『オレ良し・キミ良し・社会良し』の考えで対策に関心を!

 とはいえ、やっぱり今回のBBCのニュースは「子どもの貧困」から「人間の豊かさって何なんだろう」と考えさせられます。言い換えると、子どもの貧困を考えることは、子どもや貧困についてだけでなく私たちの暮らしや人生の在り方について考えることにつながっています。そういった意味で『子どもの貧困は他人事ではなく自分事!』としてとらえることが大切です。そして、「お金」は私たちの暮らしや人生を考える際に切っても切り離せないこと。

 これから日本でも対策がうまく進み子どもが貧困状態から抜け出すことで、将来的な納税者・納税額が増えることにもつながり、結果として対策の受益者は一億全国民にあるといっても過言ではありません。『オレ良し・キミ良し・社会良し』の考えで対策に関心を持っていただければと思います。

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 「子どもの貧困対策計画」レポートを書き始めてから『シェアしていいですか?』『参考にしていいですか?』『活用していいですか?』といったお声かけをいただくようになりました。恐縮な限りです。記事はシェアや拡散歓迎です。また、このブログはあくまで個人ブログであり、村尾個人の見解があることをご了承ください(「子どもの貧困」用のブログをつくることも考えています)。ありがとうございます。