村尾政樹の個人ブログ

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「あすのば・日本大学共同研究 都道府県別子どもの貧困対策計画『見える化』プロジェクト」が子どもの貧困対策センター「あすのば」と「内閣府・子どもの貧困対策に関する有識者会議」構成員の末冨芳・日本大学文理学部准教授、末冨ゼミ生とともに10月に発足。このたび、初めて全47都道府県の対策計画の策定状況が明らかになりました。
 
この共同研究プロジェクトは、子どもの貧困の対策計画の策定が努力義務とされている都道府県の策定状況および計画の内容を調査・分析し、地方自治体における対策の実態把握と今後の対策推進につなげることを目的としたものです。今回は、その中間報告として、47都道府県の対策計画策定状況の調査結果を公表しました。この調査には末冨ゼミの学生=写真=に多大なご協力をいただきました。心からお礼申しあげます。
 
 
4割の都道府県が単独の対策計画を未策定 地域に左右されない子どもの貧困対策が急務 
 
調査の結果、子どもの貧困対策計画を単独の計画として策定済みの都道府県は、47都道府県中6府県(神奈川・京都・鳥取・島根・山口・香川)で、今後策定予定は22道県でした。また、子ども・子育て等総合計画の中で子どもの貧困対策計画を策定済みの都道府県は、16府県で、今後策定予定は2県でした。策定予定なしは、東京都のみとなっています。
 
したがって、子どもの貧困対策計画を単独の計画として策定済みと策定予定は、28道府県(59.6%)、子ども・子育て等総合計画の中で策定済み・策定予定および策定予定なしは19都道府県(40.4%)という結果でした。
 
調査を担当した末冨准教授は、「子ども・子育て等総合計画の中に子どもの貧困対策計画を策定済み(16府県)の場合、早期策定は評価できるが、子どもの貧困対策の具体的な政策・事業に充実の余地があるのではと考えられるケースもあった。一方で、単独計画として策定予定の22道県の中には、策定のための実態調査や検討会議実施などていねいに向き合っている自治体もあると思う」とコメントしました。
 
 
(共同研究プロジェクト中間報告書より抜粋)
 
 
国は自治体の対策推進のためにも予算確保を(あすのば事務局長・村尾政樹)
子どもの貧困対策法には「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」と定められているが、4割の都道府県が単独の対策計画を未策定と対策の明暗を分ける危機的状況が明らかになった。地域によって左右されない対策を進めるためには、全国知事会から緊急提言された「子どもの貧困対策強化交付金(仮称)」など自治体におけるきめ細かな取り組みを国が後押しするため、自治体の裁量で柔軟に活用できる新たな交付金などの創設が必要である。国の予算編成において十分な予算確保による国のリードが欠かせない。今後は阿部彩・首都大学東京教授や同大学内に開設された「子ども・若者貧困研究センター」などとの連携も含め、計画の内容についての検証・分析を進めていきたい。
 
 
2015年12月20日(日)、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・代々木)で開催された「第1回あすのば全国集会」において今回の調査結果に基づき、国会議員の方々へ「子どもの貧困対策強化交付金創設」の提言をさせていただいた。大人にとって北海道は最北端で沖縄は最南端、住むところによっては「村の端っこ」と思うかもしれない。だが、子どもにとっては生まれ育つところが「ど真ん中」である。対策に地域間格差が極力起きない形で対策を推進していくべきだ。2016年は、各都道府県の施策や予算など計画の内容について統一的な評価軸を検討し、国や自治体との対話も継続しながら冷静な状況把握・評価を進めていきたい。
 

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